私たちは時代劇などを見て、その頃の生活はこんな感じだったんだ、というステレオタイプを事実だと思いこんでいるようです。幕末、明治からの日本人の実際の暮らしに関しては、それ以前に比べ、口述、欧米人の見聞など様々な記録があります。それらを通じてみる当時の人たちの生活には、とても興味深いものがあります。
忘れられた日本人 宮本常一(1907~1981)
民俗学者、宮本常一は日本中を旅し、それぞれの土地の話を住人から聞き取って行きます。ちょっと昔の日本人の”生きた生活”を当時の人たちの言葉で知ることは、とても大切なことではないかと感じています。それは、今の私たちに繋がっていることなのだから。
逝きし世の面影”
渡辺京二(1930~ )
幕末から明治初期にかけて日本を訪れた欧米人たちの多くが、日本人は幸福で満足そう、という印象を持った。だが、その”素朴で絵のように美しい国”は死滅してしまった。日本人にとっては、あたりまえすぎて記録に残らなかった事にも欧米人たちは感心を寄せます。
作者は大量の参考文献から”逝きし世の面影”を浮かび上がらせます。
日本奥地紀行 イザべラ・バード(1831~1904)
”逝きし世の面影”の中にも度々登場するイギリス人女性の日本旅行記。1878年(明治11年)47歳のバードは、18歳の伊藤という通訳兼従者だけを連れ、日光から東北、北海道への3カ月のたびに出発しました。
彼女の見た当時の東日本の様子が詳しく描かれます。
そして、宮本常一が、この”日本奥地紀行”について講演した記録が”日本奥地紀行を読む”です。実際に日本中を歩き回った民俗学者が、バードの記述をわかりやすく解説してくれます。