私たちは今、現在に生きていますが、それは積み重ねられた歴史の上に成り立っています。
文章や写真などに記録された”歴史”から、その当時を想像しています。
モースの見た日本 モースコレクション・日本民具編
エドワード・S・モース(1838~1925)
大森貝塚の発見で有名なアメリカ人、モースは、大量の日本の民具を持ち帰りました。それは、アメリカ、セイラム・ピーボディー博物館に収められています。
この本は、その収蔵品を紹介したものです。
モースのコレクションは、そのほとんどが普通の人々からもらい受けた、単なる生活民具ですが、彼が日本に滞在した明治10年代前半の、江戸の面影が色濃く残っていた時代を忍ばせます。
当時の人々の暮らし、作った職人の感性。国内の博物館で見てきたものより、面白く、生き生きとしているように感じます。
”古文書”、まず書かれている字が読めない。専門家とはすごいもので、その古文書から、こんなに面白い物語をあぶりだしてくれます。
江戸時代末期、加賀藩の御算用者(そろばん係)だった猪山家。
彼らが一大決心して、自分たちの借金を整理し、さらには幕末の動乱を乗り越えて行く姿が、日々の生活の詳細な記録(家計簿)を通じて描かれます。
この本を原作にした映画が、イマイチだったのは、”想像する方が面白い”ということがあるのかも・・・
地図で読む昭和の日本 今尾恵介(1959~ )
”地図”、これほど客観的な記録もないと思います。
地図の専門家である著者が、同じ場所の違う時期に作られた地図を見比べる定点観測。
何十年の時間を経ての変貌ぶりを、その土地の歴史を踏まえて読み解きます。
関東を中心に28の都市が紹介されていますが、京都や堺など、土地特有の歴史や地形によって、変化の仕方がちがうのも面白いです。