芋文庫

推し本

古い映画

親の影響もありますが、古い映画が好きです。

特にそれが”作られた時代”が細かく見られるものが面白いです。

 

映画の昭和雑貨  川本三郎(1944~ )

昭和20,30年代は、日本映画の黄金時代。
その中から、当時の日本の暮らしぶりに焦点をあてて、テーマ別に取り上げています。

著者の鋭い観察眼で説明されるディテールは、演出されてはいても、”当時の様子”を私たちにダイレクトに見せてくれます。

 

もぎりよ今夜も有難う  片桐はいり(1963~ ) 

自ら”映画館の出身です”と言う俳優、片桐はいり
彼女は18歳からの4年間、東京銀座の映画館で、アルバイトの”もぎり嬢”として働きました。

80年代の日本の映画館の盛衰、当時の銀座ならではの客層。盆、正月の”男はつらいよ”は日本国民にとって何だったのか。

”映画館”を愛する彼女の”もぎり”は、まだまだ続いて行くようです。

            

伊丹万作エッセイ集  伊丹万作(1900~1946)

脚本家、映画監督の伊丹万作。映画監督、伊丹十三のお父さんです。

草創期の日本映画界で仕事をした彼の、映画界に対する意見や若手作家のシナリオへの批評などを集めたものです。

彼の文章はわかりやすく、批評する態度にも好感が持てます。

物事をちゃんと見て、自分の意見をしっかり持って、と教えられたように思います。

 

東京

首都、東京。文化的にも歴史的にもギュッと詰まったものがあります。

 

アースダイバー  中沢新一(1950~ )

東京の地形は、縄文期からの洪積層(乾いた土地)と沖積層(湿った土地)の複雑な交代で成り立っている。

そのことが、街の形成にどう影響してきたのか。

中沢新一の独自の視点での東京散策。私も東京タワーの”感じ”は納得です。

地形の成り立ちを感じながらのこんな散歩も面白そうです。

 

名作写真と歩く、昭和の東京  川本三郎(1944~ )

東京生まれの作家、川本三郎が選んだ名作写真。

昭和7年から63年までの東京。

日本橋、東京駅、東京タワーなど、誰もが知っている”東京”が、その時々の情景の中で違って見えます。

どれも著名カメラマンによる、さすが”名作写真”ですが、”東京”を時間を超えて旅した気分になります。

 

谷根千の冒険  森まゆみ(1954~ )

1984年(昭和59年)、主婦仲間3人と始めた地域雑誌”谷中・根津・千駄木”(愛称”谷根千”)。

自分たちの住んでいる地域の郷土史聞き書き、建築などを取り上げて行きます。

当時、20代の彼女たちは、子育てしながら、街の中で”雑誌作り”に奮闘します。

 



 

 

 

 

 

 

 

 




 

名作文学

正直、ほとんど読んでいません。”名作”だから読まなきゃ、とは思わないけど、気にはなります。しかし、名作文学は限りなく・・・

そこで、好きな書評家の意見を参考にします。

 

読まず嫌い   千野帽子(1965~ )

タイトルに惹かれて読んだ本。

文芸評論家、千野帽子がテーマ別に名作文学の構造を解説します。

本の好みは違うものの、彼の考え方は私には新鮮で、共感する部分もかなりありました。

日本で昭和の初めに登場した”文学全集”の意味づけなど、面白かったです。

 

名作うしろ読み  斎藤美奈子(1956~ )

メジャーな名作タイトルがズラリと並びます。
文芸評論家、斎藤美奈子が、名作文学の書き出しは知っていても、ラストの一文は知らない私たちに、”だったら調べてみようじゃないの”とのコンセプトで語ります。

要は、ラストがわかっても、”名作”は面白い、ということ。

一作づつ、今風にわかりやすく解説してくれます。

 

百年の誤読  岡野宏文(1955~ )豊崎由美(1961~ ) 

日本文学より、海外文学に興味があるのですが、頼りにしているのが書評家、豊崎由美

彼女と作家、岡野宏文の対談という形で書かれた本。

これまでの100年で書かれた海外文学の”名作”とされる100冊をとりあげます。

タイトルや作家名は聞いたことがあるけれど、実際に読んでない本ばかり。

ふたりの話を参考に、次に読む本を物色中です。

 

 



 

 

 

 

日本を見る眼

海外から日本にやって来て、日本を好きになった人たち。

彼らの眼には、日本はどう映っているのか?

”日本を見る眼”はある出版社が使っていたのをパクりました。

 

日本その日その日  エドワード・S・モース(1838~1925)

初来日からわずかの間に大森貝塚を発見するほどの観察眼を持ち、好奇心も強いアメリカの生物学者、モース。

明治初期の東京に暮らし、貝類の採集のため各地に出かけました。

彼は当時の日本の暮らしに強く興味をひかれ、日本での日々を心から楽しみました。

得意のスケッチも織り交ぜながらのモースの記録は、今では忘れられた日本人の生活の様子を教えてくれます。

 

空からやってきた魚  アーサー・ビナード(1967~ )

以前紹介したA・A・ミルンの自伝”今からでは遅すぎる”で石井桃子の翻訳を手伝ったアメリカ人の詩人ことアーサー・ビナード

1990年に来日、その後ガツガツ食うように日本語を学んだという彼。

10年余りでこんなに日本語を深く理解できるようになる人もいるんですね。

彼の好奇心は幅広く、独自の感性で様々なものに向けられます。

 

ウスビ・サコの「まだ、空気読めません」  ウスビ・サコ(1966~ )

西アフリカ、マリ共和国出身のウスビ・サコ。

現在、京都精華大学の学長です。

20代で来日した彼が、今までの経験を通じ、マリ文化との比較もしながら日本について語ります。

”おもてなし”をとなえながらも国内で暮らす外国人には分かりにくい日本社会。

”日本文化の良さ”をこれからの共生社会に生かすには、どうすればいいのか・・・

 

 

 

 

本を作る

私などは、いつも気楽に本を読んで楽しんでいるのですが、今の時代、”本を作る側”は、いろんな意味で大変そうです。

それでも、”自分たちの本を作りたい”という熱意を持った方々のおかげで、いい本に出合えていると思います。

 

文房具図鑑  山本健太郎

2016年当時、12歳の小学生が作った文房具辞典。

ほぼ実物大の手描きです。この絵が力強く、”お気に入りの文具を知ってほしい”という気持ちが、ひしひしと伝わります。

筆記具は、実際それで書いた線が示され、書き心地も。彼は筆圧強めです。

健太郎君の文房具愛と、その知識、そして使い勝手を重視した独自の説明文。欲しくなる文房具がたくさん!

 

計画と無計画のあいだ  三島邦弘(1975~ )

自分を”向こう見ず”で”行き当たりばったり”と認める作者は、勤めていた出版社を辞め、単身、株式会社”ミシマ社”を設立。

”無法者”と言われながらも”日々を緊急体制で臨む”というベンチャーの働き方をいとわない社員と共に、”直取引営業”など、従来の出版社とは違う流通を考えます。

彼らは”原点回帰の出版社”を目指し、面白い本を作り、読者に届けようと奮闘します。

 

中世の写本ができるまで  クリストファー・テ・ハメル

”中世写本”は、後期ローマ帝国から盛期ルネッサンスまで、およそ千数百年間、ヨーロッパで制作されました。

羊皮紙作りから、写字生による書写、彩飾、装丁。

出来上がった写本は、それ自体がすぐれた工芸品です。

制作途中の写真もあるので、当時の写本作りの様子がよくわかります。

 

 

手仕事

”手作り”が商品の付加価値となってしまった現在。

趣味や家事、仕事であっても、”手作業”を楽しめたら、と思います。

 

手仕事礼賛  林ことみ

 

編み物作家の林ことみ。その作品は色使いがとてもステキ!

子供の頃から手作業の好きな彼女が、その時々の生活の中で、試行錯誤しながら作った物を紹介して行きます。

ボタン付けのコツから、リフォームして作った袋物や道具の話。

やってみたいアイデアがいっぱいです。

 

柚木沙弥郎 92年分の色とかたち  柚木沙弥郎(1922~ )

この本は、2014年に92歳になった染色家、柚木沙弥郎の仕事を紹介したもの。
染色はもちろん、手で作ることが基本になっている彼の仕事。

他にも、旅先で集めたコレクションなど、楽しい物でいっぱいです。

直感を大切にする、柔軟な考え方が、92歳にして仕事を続けられることに繋がっているようです。

 

宮脇綾子 アプリケ  宮脇綾子(1905~1995)

”アプリケ”と聞いて、懐かしい、と思われた方は、どこかで彼女の作品を見たことがあるのでは。

戦後、家事のかたわら、大切にとっておいた布でアプリケを始めた彼女。身近な野菜、魚、花などをモデルに作品を作っていきます。

彼女のデッサン力や、センスがすばらしいのですが、題材と使う布の組み合わせが、今みても新鮮です。

 

イタリア

その歴史の深さ、風土の豊かさ、デザインのカッコよさ、食のすばらしさ、そして情熱的な人々(イメージではありますが・・・)

本を通じて、自分の生活にも、ちょこっとイタリア、持てればと思います。

 

イタリアの街角から  陣内秀信(1947~ )

大学の研究室の学生たちと、南イタリアの都市調査を続けている建築史が専門の陣内秀信

ローマやベェネチア以外にも魅力的な街がたくさんあるイタリア。その多くが、自分たちの”歴史の恵み”と”自然の恵み”を生かして地域再生に取り組み、元気になっているそうです。

豊富な写真と共に、街々の活動と現状(2010年現在)を紹介していきます。

日本の現実を考えると、イタリアが羨ましいけれど、住民自身が意識を持って頑張っているんでしょうね。

 

コルシア書店の仲間たち  須賀敦子(1929~1998)

20代の終わりから10年程、イタリア、ミラノのコルシア書店での活動に参加していた須賀敦子

薄紙を丁寧に折り重ねた様な彼女の文章。

1960年代のミラノ、自分たちの理想を追った、書店をめぐる仲間たちとの懐かしい日々が綴られます。

 

木をかこう  ブルーノ・ムナーリ(1907~1998)

イタリアのデザイナー、ブルーノ・ムナ-リ

彼の作品は家具から絵本まで、ジャンルの幅が広く、実験的なものが多いです。

”枝は2本に分かれ、幹から遠くなるほど細くなる”この規則だけで、様々な”木”が描かれます。その応用は立体へと・・・

こんな簡単な規則に沿うことで、上手い、下手に関係なく、絵を描くのを楽しむことが出来る。

自分にも、もっと何か出来そうな、そんな気分にしてくれる本です。

翻訳は上で紹介した須賀敦子