芋文庫は月ごとにテーマを決め、それにそって3冊ずつ紹介するつもりだったのですが、どうしてもテーマ別に出来なかったものを、好きな本(もちろん芋文庫の本は、全て好きな本ですが)として紹介します。
絶叫委員会 穂村弘(1962~ )
偶然見たり、聞こえたりした”言葉”に対する作者の驚き。それは、穂村弘独特のものです。歌人は、おかしいくらい世間に怯え、天然にはあこがれます。私は彼のエッセイを読むと、なぜか元気になれます。不思議なビタミン剤。
”釣り”とはそんなに魅力的なものなのでしょうか?
編集者という仕事をこなしながらも、いつも”渓流釣り”のことを考えている著者。山での釣りと季節の風景、そこで会う味のある人々。
”釣り”は知らなくても、それぞれの話に引き込まれて行きます。
宗教学者の中沢新一が、自分の叔母と結婚して叔父となった歴史学者、網野善彦の追悼文として書いた作品。
幼い頃の出会いから、50年におよぶ二人の関係。若き著者の宗教学の研究と、日本中世史の”網野史学”が形作られる過程 がリンクしていく様は感動的です。本当に大好きだった叔父さんとの奇跡のような出会いと、過ごした時間。