私たちが外国の書籍や映画を楽しむことが出来るのは、翻訳家のおかげです。語学力はもちろん、ほかにも仕事に応じて様々なスキルを求められる大変な仕事。ひたすらリスペクト。
字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ 太田直子(1959~2016)
洋画を見ていて、聞きとれる英語より字幕の日本語の方が、内容にしっくり来るのに感心することがあります。
これは、2016年に亡くなった字幕翻訳家、太田直子のエッセイ。
決められた字数(1秒で4文字)で、的確に原語のセリフを日本語に置き換える、書籍の翻訳とはまた違う字幕翻訳の世界。その仕事は、まさに職人技。
大変な仕事ほどエピソードも多いようですが、それをネタにする作者の逞しさを感じます。
ガセネッタ&シモネッタ 米原万里(1950~2006)
ロシア語の同時通訳をへて作家になった米原万里。
同時通訳の仕事の舞台裏を、ウイットのある文章に皮肉たっぷりのオチをつけて書いたエッセイ。
よくこんなにネタがあるな、と感心しますが、それもこの仕事の難しさゆえだったのかも。
明治大正翻訳ワンダーランド 鴻巣友季子(1963~ )
著者は、自身も翻訳家の鴻巣友季子。
明治21年、二葉亭四迷が言文一致体を完成させて以降、わずかな時間に様々な翻訳作品が登場します。
ロシア文学からエンターテインメントまで、今では考えられない大胆な超訳も。明治の翻訳家は力強いです。