芋文庫

推し本

回想記

本を通じて様々な情報を得、作品の世界を味わい、作者の意見に共感してと、楽しい時間を過ごしています。

きちんと系統だてて、ではなくその時々で気になった本を読んでいるのですが、それがどこかで繋がったりすると、とても嬉しい。

今までの読書生活で、自分の好みに関しては、勘が働くようになり、確率良く好きな本を探せるようになりました。

その中から、他の人にも読んでもらいたい本を紹介したく、このブログを始めます。私の独断と偏見による書評ですが、覗いてみて下さい。

 

銀の匙  中勘助(1885-1965)

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作者は明治18年生まれ。彼が20代のときの作品のせいか、幼い頃のことを本当にこまごまと、よく覚えていて感心します。

恵まれた環境に生まれますが、体が弱かったので、子供好きの伯母につきっきりで育てられます。オデキだらけの自分を”化けもの”と言ったり、楽しいことばかりではなかった様です。それでも明治の山の手の暮らしが、廻りの風景からお菓子やオモチャまで、子供の目線で繊細に描かれ、とても”いとおしい”感じが伝わってきます。

 

私の浅草  沢村貞子(1908-1996)

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作者は女優の沢村貞子明治41年生まれ。明治から大正にかけての東京の下町を舞台に、母親を手伝い、弟の世話をする忙しい女の子の様子が生き生きと描かれています。知り合いや近所の人たちのエピソードもそれぞれが”お話”として映画のようです。弟の俳優、加東大介の”南の島に雪が降る”もおもしろい一冊です。

 

今からでは遅すぎる  A.A.ミルン 石井桃子

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くまのプーさん”の作者、A.A.ミルンの自伝。子供の頃、母親から”小公子”スタイルにさせられたり、仲のいい次兄との遊びなど、どこか冷めた目で見ていて、両親のことも、俯瞰するような口調で語られます。皮肉っぽくもあるのですが、そこがイギリス、って感じで私は好きです。

役者の石井桃子は、90歳から5年かけて翻訳したそうです。スゴイ!